厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、おととしの世帯の平均所得は530万円
あまりと平成で最も低い水準となり、「生活が苦しい」と感じている世帯が60%を超えて
いることがわかりました(
NHKニュース)。
生活にかかる経費の中でどの項目が家計に重くのしかかっているのでしょうか。
次のグラフは1970年から2004年にかけての消費者物価指数の推移です。
「教育」の項目に注目して下さい。他の項目と比較して顕著に高い水準にあります。
「教育費」の高騰が出産・子育ての意識を抑制する一つの要因とも考えられます。
高等学校が無償化されたなか、高等教育にかかるお金に注目すると、大卒者
でも就職が困難な時代になっているなかで、生活が苦しい世帯の子どもたちは
高いレベルの教育機会を得られにくい状況が生まれているいえます。
次のグラフはOECD調査で、縦軸が各国の国公立大学の授業料(米ドル換算)、
横軸が奨学金などを受けている学生の割合を国ごとにプロットしたものです。
大きく三つの立場に分類することができます。
A:日本型 大学の授業料は高い 奨学金などを受けている学生の割合が低い
B:アメリカ型 大学の授業は高い 奨学金などを受けている学生の割合が高い
C:ヨーロッパ型 大学の授業料は安い 奨学金などを受けている学生の割合は低い
これから日本はAにとどまるのか、BやCの方向にシフトチェンジするのか、
どちらの道を選択するのでしょうか。
奨学金の返済が若者の重い負担になっています。卒業後、上手く就職できれば
こつこつ返済できますが、逆の場合はどうでしょうか。
今後、高等教育機関においてますます変動が激しい経済状況を生き抜ける職業能力を
身に付けることが求められるでしょう。
そこで、OECDでは学問・研究よりも職業教育や訓練を重視する非大学型の高等教育
のあり方が注目されています。
京都レッツラーン大学校ではノンフォーマルな教育(制度化されておらず、国から
財政上の支援を受けていない)における非大学型の高等教育機関をめざしています。
特に教育にかかるコストを抑えるため、情報通信技術の活用、すでに市販されている
教材の有効利用、中小企業のニーズ調査や厚生労働省の職業能力評価基準などを
参考にした学習プログラムの作成を進めています。
今週の7月14日(土)から月1回のペースで
「レッツラーン大学校を考える会」を開催します。
もうひとつの高等教育機関の在り方をみなさんと一緒に考えていければ幸いです。
これまで3年間の京都府委託事業の成果を活かして、今後どのように学び場を
継続していくのか、参加者のみなさんと一緒に考えて頂ければ幸いです。